「こころの時代 瓦礫の中から言葉を 〜作家・辺見庸〜」

放送:4 月24日(日)朝5:00〜6:00 NHK教育テレビジョン(地上波)

再放送:4月25日(月)14:00〜15:00 NHKデジタル教育チャンネル

再放送:4月30日(土)13:00〜14:00 NHK教育テレビジョン(地
上波)

作家・辺見庸さんは、石巻市の出身です。故郷は、今回の地震津波に呑まれ、
壊滅しまし た。

彼が直後に語ったモノローグ番組です。どんなことを語っているか、少々、抜粋
しなが ら・・・。

昨年から詩人としても活躍している辺見さんは、今回の「故郷喪失」と「死」に
向き合い、 震災直後から詩作を続けています。

それは、「瓦礫の中に落ちている、我々が浪費した言葉たちのかけら」を「もう
一度、てい ねいに、抱きしめるように」組み立ててゆくこと。

それは、「どこか空しい集団的鼓舞を語るのではない。日本人の精神というふう
な言葉だけ を振り回すのではない」ため。

震災直後から民放ではCMが消 え、「人にやさしくしよう、みたいなキャッチフ
レーズが気が狂わんばかりに流されてゆく。今度はやさしさを押し売りして来
る」ことへの抵 抗のため。

「問われているのは、国でもなければ民族でもない。今、真価が問われているの
は明らか に、疑いもなく個人」であることを伝えるため。

絶望の淵から、アドルノの「アウシュビッツ以後、詩を書くことは野蛮である」
という警句 や、カミュ「ペスト」に登場する医師ベルナール・リウーが語る伝
染病 ペストに立ち向かう唯一の方法としての「誠実さ」―などを参照・引用しな
がら、自らを語ることを通じ、私たち個人個人に何が求められてい るかを問う
てゆき ます。

震災直後から現在までの、そして、従来もあった、NHKを 含むメディアの「伝え
方」「描き方」への辛辣な批判も番組に入れました。

その視点の「根」には、この震災をどう受け止めるかで、「危ない事象が今、芽
を出し始め て」いる、という認識があります。


辺見さんと長年のお付き合いで信頼厚い首藤圭子ディレクターが震災直後にロケ
してきたモ ノローグ素材を、小生が引き継ぎ、構成・編集させていただきました。

震災から1ヶ月、NHKを含め、 テレビメディアのいわゆる「震災報道」の中で
は、なかなか出て来なかった震災について考える番組のひとつとすることができ
たと思います。

本放 送は早朝で、視聴がなかなかできない時間帯ですが、録画や再放送など利
用していただいて、ぜひ、ご覧いただければと思います。